札幌高等裁判所 昭和58年(ネ)345号 判決
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【判旨】
三控訴人らの抗弁(一)、(1)(法定地上権の成立)について
本件土地がもと吉村左太郎外一〇名の共有であつたことは当事者間に争いがないが、控訴人ら提出の証拠その他本件全証拠によるも、宇野秀次郎が右共有者全員から本件土地の処分権限を委ねられていたこと及び右宇野秀次郎が昭和三四年一二月一日共有者全員のためにすることを示して本件土地の共有持分権全部を三星電気工事に譲渡したことを認めるに足りない。却つて、<証拠>を総合すれば、本件土地は、もと北海道札幌郡琴似町字宮の森七三八番畑一反四畝三歩(昭和三四年五月一四日札幌市琴似町宮の森七三八番宅地四二三坪五合に変更された。以下「旧七三八番の土地」という。)の一部であること、吉村左太郎外一〇名は、昭和二年頃宝水組合と称する水道事業を目的とする組合を設立し、旧七三八番の土地を取得し、昭和二年一二月一日宝水組合長佐々木小太郎に、昭和三年七月二日吉村左太郎外一〇名に、それぞれ順次所有権移転登記が経由されたこと、右吉村左太郎外一〇名の共有持分権の割合は、吉村左太郎一〇〇〇分の一二六、町田誠康一〇〇〇分の二七、奥田兵蔵一〇〇〇分の三四、本間ハマ一〇〇〇分の二四二、坪田弥三郎一〇〇〇分の九一、佐々木長次郎一〇〇〇分の六八、長谷川ヱイ一〇〇〇分の二八、佐々木小太郎一〇〇〇分の三〇五、両角保次一〇〇〇分の一九、両角栄治一〇〇〇分の五四、町田リサ一〇〇〇分の六であつたこと、右一一名は、私設水道の水源池として旧七三八の土地を利用したこと、佐々木小太郎、吉村左太郎、宇野秀次郎は、他の共有者から代理権の授与を受け、昭和一九年八月二五日頃旧七三八番の土地のうち本件土地を除くその余の部分三一〇坪(1024.79平方メートル)を豊島翠子に譲渡したこと、本件土地には井戸が存在したため、本件土地は売却することなく残したこと、したがつて、他の共有者は本件土地を売却する代理権を佐々木小太郎外二名に授与しておらず、佐々木小太郎、吉村左太郎も宇野秀次郎に右代理権を授与していないこと、宇野秀次郎は本間ハマから本件土地の同人の共有持分権一〇〇〇分の二四二の九分の七にあたる九〇〇〇分の一六九四を他に譲渡する代理権の授与を受け、藤沢司法書士に復代理権を授与し、藤沢が昭和三四年一二月一日頃三星電気工事に対し右共有持分権九〇〇〇分の一六九四を譲渡したことが認められ、他に右認定に反する証拠はない。右事実によれば、控訴人らの抗弁(一)、(1)は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。
四控訴人らの抗弁(一)、(2)(法定地上権の成立)について
三星電気工事が昭和三四年一二月一日頃本間ハマから本件土地の共有持分権九〇〇〇分の一六九四(同人の共有持分権の九分の七)を取得したことは右三に判示したとおりであり、<証拠>によれば、三星電気工事は昭和三五年二月八日頃控訴人ら占有土地の上に本件建物を建築したことは認められるが、控訴人ら提出の証拠その他本件全証拠によるも、更にすすんで、三星電気工事を除く他の共有者において、法定地上権が成立するような事態の生ずることを予め容認していたと認めるに足りない。<証拠>によれば、亡佐々木小太郎の本件土地の共有持分権一〇〇〇分の三〇五は、同人が昭和二二年一〇月一五日死亡し、佐々木三郎、中村クニ、池川時の三名が相続していたところ、昭和三四年六月八日大成電器が右佐々木三郎外二名から共有持分権合計一〇〇〇分の三〇五を取得したことは認められるが、控訴人ら提出の証拠その他本件全証拠によるも、大成電器が三星電気工事と実質上の同一会社であると認めるに足りない。そうすると、右両会社が実質上の同一会社であることを理由に、大成電気において法定地上権が成立するような事態の生ずることを予め容認していたとする控訴人らの主張は他に判断するまでもなく理由がない。また、本間ハマが本件土地の共有持分権一〇〇〇分の二四二の九分の七にあたる九〇〇〇分の一六九四を三星電気工事に譲渡したことは前記三に判示したとおりであるが、本間ハマは共有持分権九〇〇〇分の四八四はなお自己のもとに残したのであり、その有する共有持分権の九分の七を譲渡したからといつて、法定地上権が成立するような事態の生ずることを予め容認していたとは直ちにいいえない。更に、残余の共有者が、宇野秀次郎に対し本件土地の管理処分権限を委ねていなかつたことは前記三に判示したとおりであるから、右宇野秀次郎が残余の共有者の代理人として法定地上権が成立するような事態の生ずることを予め容認したとの控訴人らの主張は採用し難い。以上によれば、いずれの点からも、控訴人らの抗弁(一)、(2)は理由がないというべきである。
(奈良次郎 松原直幹 中路義彦)